さつまいも
県農林部地産地消推進室
食欲の秋。さつまいものおいしい季節となりました。このさつまいも、いつの時代も我々の生活に欠かせない、大切な作物なのです。
導入の経緯
さつまいもは中南米が原産地で、日本には江戸時代に中国から伝えられました。
当初は九州地方を中心に作られていましたが、享保の大飢饉のころ、蘭学者の青木昆陽が飢饉を救う作物として鹿児島県から種芋を取り寄せ、関東各地に広げました。
川越と焼きいも
その後、江戸に焼きいも屋が現れると、冬のおやつとして大人気になりました。そのころ、川越と江戸は新河岸川を利用し、船による物資の輸送が行われていたので、重いさつまいもも盛んに運ばれるようになりました。川越で作られたさつまいもは甘くておいしいので、川越はさつまいもの産地として江戸に広く知られるようになりました。
現在でも川越はさいたま市、三芳町等とともに、県内有数の産地のひとつになっています。
その後の変遷
江戸、明治時代と栄えた焼きいも屋も、砂糖を使ったお菓子が好まれるようになり、関東大震災を境に激減しました。
しかし、昭和に入り、戦争で食料が少ない時代になると、環境の変化に強く、収穫量が多いことから、さつまいもは主食に代わる大切な食糧として生産量を伸ばしていきました。
昭和30年代以降、食べ物も豊かになると、生産量は再び減少の一途をたどります。
そして今
さつまいもには腸の働きを活発にする食物繊維、ストレスや病気に対する抵抗力を強めるビタミンC、その他、ガン予防に効果があるといわれているカロチン等の栄養分が豊富に含まれ、現在、再び健康食として注目されています。
また、アメリカ航空宇宙局(NASA)では、この栄養豊富で簡単に栽培できるさつまいもを、宇宙で栽培し、宇宙食として活用するための研究を進めています。
飢饉や戦争の頃、我々に生活の活路を開いてくれたさつまいもは、近い将来、宇宙への活路を開いてくれるかもしれません。
給食会報131号(平成15年10月)から