ヒスタミン食中毒を起こさないために

(公財)埼玉県学校給食会 食品検査室

 本会検査室では、安全安心な食材提供のため、取扱い食材の細菌検査(自主検査)や、各市町村様よりご依頼いただいた学校給食用食材等について依頼検査を実施しています。

 また、令和3年から細菌検査以外にヒスタミン検査を学期に一度(年3回)外部検査機関で実施しています。今回はヒスタミン検査について掲載します。


ヒスタミンとは?

 マグロ、カツオ、イワシ、サバ等の赤身魚等に多く含まれるアミノ酸の一種ヒスチジンが、ヒスタミン産生菌の酵素の働きによって生成された物質です。


どのように起こるのか

 赤身魚やその加工品を常温で放置したり、解凍・冷凍を繰り返すなど、不適切な処理・取扱いを行う事により、食品に付着していたヒスタミン産生菌が増殖し、ヒスチジンがヒスタミンへと変化します。それらを一定量摂取することによりアレルギー様食中毒を発症します。


どんな症状

 摂取後すぐから1時間以内に顔面紅潮、蕁麻疹、頭痛、発熱などが起こります。


注意点

 ヒスタミンは熱に影響されず、加熱しても分解されないため、原料段階から喫食までの温度管理が非常に重要です。下味に漬けるなどの加工工程中でも常温に置く時間を短くし、品温を5℃以下で保つようにしましょう。

 喫食時、舌がピリピリしたり、痺れる場合は直ちに使用を中止します。


なぜヒスタミン検査を実施しているのか?

この段階の温度管理が重要 ヒスタミンを原因とする食中毒は全国で毎年発生し、学校給食などの大量調理施設でも起こっています。施設の特性上、1件当たりの患者数が多くなるため特に注意が必要です。

 大量調理施設では、ほぼ同じ大きさの切り身に加工した食材を使用することから、加工時の解凍・冷凍を繰り返すなど温度管理においてリスクが増えるのではないかと考えられています。そのため、本会取扱いの魚加工品が適切な管理下にあった食材か確認するため、定期的に検査を実施しています。


検査対象食材

 上記赤身魚等を使用していて、取扱量等を考慮した加工食材。


検査結果についてはこちらに掲載しています。ご活用いただけると幸いです。


給食会報189号(令和5年4月)から

ページの先頭へ