乳成分不使用パン拡充の取組について

本会では良質な食材の安定的な供給と学校給食の普及充実をより一層強力に推進していくため、「埼玉県学校給食会5か年事業計画」を策定しております。その中の目標の一つとして「ニーズを捉えた県産農産物を利用した食材開発の拡大」を掲げています。

乳成分を使用しないパンの需要が高まっていたことから、乳成分不使用パンの拡充を目指して参りました。令和6年度供給分までは、乳成分不使用パンは2種類(ソフトフランスパン・フラワーロール)のみでしたが、今後は全てのパンで乳成分を抜くことができればと考え、令和4年度から専門家や工場関係者と協議・試作の取組を開始しました。

パン作りにおいての乳成分の役割を簡単にご説明させていただきます。水分の蒸発を防ぎ、生地により多くの水分を保持する、発酵を遅らせたり、発酵中に吸水し生地を引き締める、焼き色をよくする、また栄養面の補強・うま味や風味をつけることが挙げられます。このような役割がありますが、アレルギーの観点(視点)から多くの栄養士さんから乳成分不使用パンの開発の要望をいただいておりました。

開発初期の段階では脱脂粉乳の代わりになるものはないか、また乳成分を含まないマーガリンはどこのメーカーで作っているのか。手探りで開始しましたが、製粉会社の専門家や機械メーカーの方、もちろんパン工場関係者の協力も得ながら試験を重ねてまいりました。乳成分を抜いた場合においても、食味、風味は問題ないか、また機械製造に問題はないか、大規模工場においても製造ができるのかなどの課題がある中で様々な配合で試作協議しました。

令和6年度には栄養士さんから現場の意見も聞き最終試験を行い、時間はかかりましたが、すべてのパンから脱脂粉乳を抜くこと、またすべてのマーガリンを乳成分不使用にすることで令和7年4月から配合変更し2品目から16品目に拡充し供給を開始しております。しかしながら、現在もその他の原材料(バター・植物性生クリーム・チーズ)に乳成分が含まれ、6品目(バターロール、チーズパン、スクールメロン、山型食パン、マーブル食パン、バターリングパン)においては乳成分有のパンを供給しております。今後代替品が見つかり次第配合変更が出来るよう準備を進めてまいります。

アレルギーに関する配合変更となり、本会からの情報発信や委託加工工場で製造において間違いが絶対にあってはならないことです。工場によっては市販のパンを製造している工場もあります。コンタミネーションのリスクもありますので、本会において外部検査機関での定期的な検査を実施しております。また委託加工工場に対してのアレルギーに関する講習会等も開催し、今後も事故が発生しない為の取組と、最終目標であるすべてのパンを乳成分不使用にする取組を進めてまいります。今後も学校給食用パンを安心してご利用いただけるよう、関係各所との連携を強化し安定供給に努めてまいります。

※写真は、パン製造技術講習会及びパン試験焼きの風景です。

パン製造技術講習会で試験焼きされたパン。パンが個包装されて並んでいる。 パン製造技術講習会で、白衣姿の参加者が製パン実習中に講師から指導を受けている様子。 製パン実習室で講師が大型ミキサーの前で説明を行い、参加者が周囲で話を聞いている。


講習会の座学風景。講師が演台に立ち、受講者がノートを取りながら説明を聞いている。 パン製造技術講習会の試食・実習風景。参加者が机に並んだパンを前に講師の説明を聞いている。 講習会の座学の様子。講師が演台で説明を行い、受講者が整然と並んで講義に参加している。


給食会報196号(令和7年9月)から

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